ヨーク大学日本語科二学年読解・会話教材 AS/JP2000
6.0 Reading Comprehension and Dialogue
第三十二課「日本への留学」 Lesson 32: Going to Japan to study
「読解」Reading Comprehension
ヨーク大学は日本にある明治大学・獨協大学・慶応大学と姉妹校提携をしています。日本語を勉強している学生には、三年のコースを成績優良で修了する見込みがあれば、その内の一つの大学に留学できる機会があります。もちろん試験と面接を受けなければなりませんが、総合平均点が、B以上であれば、たいてい問題はありません。この学生交換は大学間の公式な交換なので、選ばれれば、かなりの名誉になるわけです。奨学金をもらえる可能性もあるし、三年間日本語を勉強した後で、日本の大学で、日本人の学生に混じって大学のコースが取れるというのは、人生においてまたとないいい経験になることは間違いありません。文部科学省が正規の交換学生に出している奨学金は、往復旅費や生活費を含む、他に例を見ないもので、受け入れ側の大学が申請することになっています。ヨーク大からは、奨学金として授業料が免除される可能性があり、日本で取得した単位のいくつかは、ヨークの単位として認められることになっています。日本語は勉強すればするほど、難しくなるだけでなく、練習も必要になるので、学生にとっては三年間の勉強の成果を試すのに最高の機会です。今年三年生の日本語を取っている人の中に日本への留学を希望している人が何人かいます。先日担当の先生が、交換学生の話をしてくれたので、今日はクラスの三人が集まって、相談しています。
「会話」Dialogue
ロン: この間の先生の話を聞いて日本に留学したくなったんだけど、みんなはどう。
ジーン:私は、専攻の四年生のコースを取らなければならないから、 ちょっと無理だと思うんだけど。
アリス:私も同じ問題があるんだけど、一年卒業を延ばしても、行く価値があると思うの。
ロン: ぼくも アドヴァイザーに相談に行ったら、やはり四年のコースはヨークで取らなければだめだと言われたよ。
ジーン:一年遅れてもどうってことないけど、奨学金が取れなければ、 やはり行けないでしょう。日本ではかなりバイトができるらしいけど。
アリス:前に行った人の話では、英語を教えれば、結構稼げるらしいし、ホームステーにしてもらえば、家賃もあまりかからないから、 何とかやっていけるんじゃない。
ロン: ぼくは友達が東京で英語を教えているから、同じ学校でバイトができるかもしれないんだ。もちろん、勉強がおろそかになっては困るから、バイトはほどほどにするつもりだけど。
ジーン:私は、ホームステーより自分のアパートに住みたいな。よその家 で世話になると結構面倒くさいでしょう。食事の時間までに帰らなければとか、門限とか、お風呂に入ることとか、あまりプライバシーがないから、きゅうくつだわ。
アリス:でも、日本人の家庭で、毎日日本語を使って生活したら、 日本語がすごく上達するんじゃないかしら。私は一年ぐらいなら、我慢できると思うわ。
ロン: ぼくは寮に入ろうと思っているんだけど。ゼミに入ったり、部活をしたりする場合、寮にいると便利だし、みんないろいろ教えてくれるだろうから。
ジーン:試験はいつあるのかしら。
アリス:先生の話では、十一月中に面接があって、選ばれた人に筆記試験があるらしいわ。
ロン: 試験は難しそうだね。
ジーン:一つの大学に三人 ぐらいまで行けるそうだから、みんなでやってみない。向こうで一緒に勉強できれば、楽しいじゃない。
アリス:私は明治か慶応に応募するつもり。
ロン: ぼくは獨協。夏休みにバイトをして稼いで、 九月から勉強できるというのは助かるよ。
ジーン:私はまだ分からないけど、後で先生にもう一度相談してみることにするわ。
© Norio Ota 2008
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