清水:
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先生、今日はお忙しいところをどうもすみません。
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正木:
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久しぶりだね。勉強のことで悩んでいるんだって。
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清水:
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はい、秋学期は、コースを一つ落としましたし、成績もあまりよ くなかったので、どういう風に勉強したらいいか教えていただけ ないかと思って。
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正木:
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そうですか。聞き取りの方はだいぶなれたでしょう。
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清水:
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はい、はじめのころと比べたら、かなり分かるようにはなったの ですが、語彙の不足を痛感しています。
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正木:
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たいていの留学生に共通した問題ですね。これは、すぐによく なるというものではないんですが、それぞれの分野に出てくる 専門用語を書き出して、意味と使い方をきちっと頭に入れる努力をしたらいいと思います。
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清水:
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読解の方も、読んでも後で何が書いてあったか覚えていないの ですが。
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正木:
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それもよくある問題で、読む時に本当に内容を理解していない だけでなく、自分の言葉で内容を記憶していないために起きる問題です。
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清水:
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どうしたらいいでしょうか。
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正木:
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私は、大切なところをハイライターで記して、読み終わってか ら、そこだけ拾い読みして、内容を覚えておくことにしていま す。これで内容がだいぶ頭に残ると思います。これは試験のた めに復習をする時にも役に立ちますよ。
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清水:
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ぜひやってみます。最後に、討論なんですが、他の人が話して いる時に、どこで話し出したらいいのか分からなくて困るんで すが。
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正木:
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それは、僕でも困る場合があるんですが、要するに、英語と日本 語の会話のストラテジーの違いからくるものだと思います。英語 は一般的に「対話的」、日本語は「独話的」と言えます。どうい う意味かというと、日本人同士の会話を聞いていると、たいてい 中心人物が、一人で話していて、あとはみんな聞き手に回ってい ます。英語の場合は、キャッチ・ボールのようにある人が話した ら、次の人がそれを受け止めて話すというように、会話が進んでいきます。ですから、どこで会話に割り込んで、自分の会話を進 めるかという規則を心得ているわけです。日本人が会話に弱いと いうのもこんなところに原因があるのです。
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清水:
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なるほど、おっしゃる通りですね。時々何とか相手の話に割り込 もうとするのですが、相手にされないのです。
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正木:
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そうですね。話し手が自分の場を主張しているのです。
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清水:
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今日は勉強になるお話を本当にありがとうございました。少し気 分が楽になりました。
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正木:
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そうですか。それはよかった。問題があったら、またいらっしゃ い。
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